働き方改革目的は生産性向上ではなく「3Kへの対応」という事

働き方改革はベンチャー採用に追い風

この待ったなしの働き方改革ですが、これはベンチャーにとってはかなりの追い風になります。

「夫の稼ぎ」から「夫婦の稼ぎ」へ

これからは、「世帯収入=夫の稼ぎ」という図式が崩れ、「世帯収入=妻の収入+夫の収入+親の年金」という図式になり、世帯収入の最大化を考えたときに、必ずしも夫の収入の優先度は高くなりません。

<今まで>

  • 世帯収入
    = 夫の収入 = 1,000万円

<これから>

  • 世帯収入
    = 夫の収入+妻の収入+祖父の収入
    = 500万円 + 500万円 + 100万円 1,100万円

という考え方が広がるのです。それは女性と高齢者の社会進出により、稼げる男性が減少した一方で、稼げる女性が増加した事による当然の帰結です。

昔はサラリーマン世帯が年収1,000万円稼ぐためには、夫が毎日長時間働いて妻は専業主婦になるくらいしかなかったわけですが、女性の社会進出が進んだ今では、共働きで7時間ずつ500万円稼ぐという選択肢も十分にあります。

<今まで>

  • 夫:1日16時間、ほぼ毎日働いて1,000万円稼ぐ。「3K」は諦める
  • 妻:専業主婦で「3K」を担う

<これから>

  • 夫:1日7時間、土日祝休みで残業無し、有給休暇使って600万円稼ぐ。「3K」は分担
  • 妻:1日5時間、月水金休みで、時短・在宅勤務で400万円稼ぐ。「3K」は分担

を選択したとしても何ら不思議ではありません。

加えて、「夫婦共に500万円」は以下のように、メリット盛りだくさんです。

  • 一人で1,000万円稼ぐより、二人で500万円ずつ稼いだ方が手取り多い
    https://www.businessinsider.jp/post-195303
  • 夫が倒れても、妻が収入面でフォロー出来るので年収0のリスクが分散できる
  • 夫婦共に家と仕事に主体的にかかわることになる(一方に偏らない)
  • 妻がキャリアを積める(妻が離婚出来る笑)
  • 夫婦共に超高機能人材になる必要はない
  • 夫が子育てに参加できる(家事と介護はさておき、子の行事には参加したい夫は多い)

年収500万ならばベンチャーでも十分ペイできますね。今までは1,000万円級の年収を払えなければ、大企業にいる高機能人材は採用できませんでした。なぜなら1,000万円以上の世帯年収を狙うのだったら、夫の年収が1,000万円以上でならなかったからです。

同時に大企業では「1,000万円用意するんだからメッチャ働いて成果出してね!」となって長時間勤務を彼らに強いてきたのです。

しかし、これからは「夫婦共に500万ずつ」という認識が労働者側に広まれば、夫の年収が500万円でも十分採用できるチャンスがあります。給料は相対的に低い代わりに、前述の通り「3K」に容易に対応できるような労働環境を提供するのです。「一人っ子の我が子と一緒に毎日朝食と夕食が食べられます!」という状況を保証してくれるなら年収500万円程度構わないという高機能人材は今後必ず増えてきます。そして企業側も「まぁ500万円だし、時短・ノー残業でも構わないよ!」と、両者が折り合う可能性も十二分に出てきます。

その他にも「転勤無し」「時短」「在宅勤務」などのオプションを駆使し、「3K」人材に訴求できるような勤務体制を整備するのも有効ですが、これも圧倒的にベンチャーの方がしやすいです。

抵抗勢力が少ない

また、働き方改革に限る話ではないのですが、改革は以下のような人が抵抗してきます。

  • 現状に満足している人
  • 自分の生産性や成果が下がる人
  • リスクを取りたくない人
  • 成果を上げることにモチベーションがない人

働き方改革のような新しい働き方を導入すると、一時的に生産性が大きく下がります。慣れないツールを駆使しないといけない、今までのルールが通用しなくなる、仕事を明文化しないといけなくなる、といった痛みが出てきます。その痛みを乗り越えると今以上に飛躍できる可能性が出てくるのですが、それを分かっていない人や価値を感じない人は抵抗してきます。

また、定年間近の社員はあと数年間無事に勤め上げる事が至上命題であり、10年後を見据えて今の生産性を大きく落としてリスクを取りましょう!と言ったところで、自身の年収ダウンのリスクを引き受けてまで改革を受け入れる可能性はほぼありません。

一方でベンチャーでは

  • 人が少なく、抵抗勢力が生まれる確率が低い
  • 現状に満足しない人が多い
  • 若いのでリスクを取りやすい
  • リスクを取り、成果をあげなければ生き残れないことを全員知っている

ので10年後を見据えた改革も比較的受け入れられるでしょう。10年後でも40代で、まだ20年は勤めなくてはなりませんから。全員が若い30代で組織されているスタートアップなどは典型例ですね。

おわりに

私も30代後半を迎え、親の介護を本気で心配しなければなりません。そんな時に「長時間労働で全国転勤と長期出張よろしく!」と言われると、例えやりがいある仕事で給与が高いとしても非常に困ります。

それでもなお大企業が「長時間労働と休日出勤、全国転勤と長期出張よろしく!」と労働者に強いるのであれば、そういった困った労働者を狙い撃ちにするスタートアップ企業に人材がどんどん移動してしまい、日本全体の生産性が下がりかねません。

働き方改革は一過性のブームでは終わりません。大企業の人事こそ、真剣に考えて取り組まなければなりません。

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