都内の飲食店やコンビにでは外国人店員が増えてきました。それに伴い、店員のマナーが「なってないんじゃないの?」と感じることが多くなった気がします。
これは私だけではなくて、ヤフー知恵袋に載っているように、大都市近郊在住の方であれば感じていることだと思います。
だからと言って、かつて日本人がほとんど担っていた頃の接客と同じように、キチンとしたマナーを彼らに身につけて欲しいと、わたしは思いません。
なぜならば、マナー教育はものすごく高く付くからで、その教育の原資は価格に反映されるからです。
笑顔で接客!は世界でも特殊な環境
日本人であれば、接客業で笑顔で対応することは当たり前と捉えるかもしれませんが、たかだか客単価10ドル程のレストランや小売店の販売員の接客において、笑顔での対応が望まれる事は世界的には特殊と言えます。
私はオーストラリア、イギリス、中国と行きましたけど、日本みたいな「無理強いの」笑顔をまとった綺麗な接客を行っている販売員には会った事がありません。(誤解ない様に言いますが、お互いジョークを言ったりして双方が自然に笑顔になる事は何回もあります。無理強いはない、ということです)
一言で言えば、客も店員もフェアなんです。店員は客にこびる必要もなければ、客も店員に対して高飛車に構えることも無い。良くも悪くも買い手と売り手の関係の「ビジネスライク」で、お互いに一線は越えようとはしません。
そのような文化で育ってきた外国人が日本に来て、「客を家族のようにもてなせ」「お客様は神様だ」「いかなるときも笑顔で接客」といわれたとしても、全くピンッと来ないのです。
まぁ、私(事務職)が「上司を家族のようにもてなせ」「いかなる時も上司に対しては笑顔で」といわれてもピンッと来ないのと同じ心境だと思います(笑)
つまり、精神論で「笑顔で接客」と言われたとしても、概念自体が分からないので、そこから教えないといけないのです。
日本人だと「笑顔で接客は当たり前だ」と納得してくれますけど、外国人に対しては「なぜ接客で笑顔にならないといけないか?」から丁寧に教えていく必要があります。
マインドセットを変える研修は高コスト
であれば、研修で教えて行くことになるのですが、これがめちゃめちゃ難しいのです。
研修は大きく3つに分かれ、それぞれ
- 座学系・・・業務で使う知識を教える
- 実技系・・・業務で使う行動を体得させる
- マインドセット系・・・業務で使う心の在り方、考え方を教える
です。
マクドナルドの接客で考えると
- 座学系・・・メニューを覚える、廃棄物の種類を覚える
- 実技系・・・手洗いのやり方、袋詰めのやり方、お辞儀の仕方
- マインドセット系・・・笑顔であいさつ、敬語、心遣い、職業観
でしょうか。下に行けば行くほど、効果発揮に時間とお金がかかります。
日本人を研修する場合は、マインドセット系の教育は最低限で構わなかったのですが、外国人相手ではそうはいきません。かなりのお金と時間をかけて教育をしなければなりません。
そしてこのマインドセット教育は、実技や座学に比べて早期戦力化が期待できるものではなく、研修の優先順位は比較的低いものになります。
- ハンバーガーは的確に売るが、笑顔がない従業員
- 抜群の接客態度だが、売るハンバーガーを間違える新人
とでは、戦力として価値があるのは前者です。
研修の順序から言うと、まずは座学と実技で戦力化して、次にマインドセットとなります。
残念ながらマインドセット系の研修は本で教えることは難しいという特徴がありますので、先輩が対面で教えたり、DVDなどの視覚教材を使ったりします。
一方で座学は本で自習を促すことも可能な部分が多いので、マインドセット系研修は座学に比べてかなり割高になります。
まとめると・・・
研修種別 | 効果 | コスト |
---|---|---|
座学 | 高 | 低 |
実技 | 高 | 高 |
マインドセット系 | 低(時間が掛かる) | 高 |
となるので、教育に十分な人手を割けない場合、必然的に座学研修を優先し、次に実技、最後にマインドセットとなるわけです。
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