新卒採用はなくなりません

先日、経団連会長、就活ルール廃止に言及というニュースが紙面をにぎわせました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34913280T00C18A9EA1000/

経団連の中西宏明会長は3日に開いた記者会見で、就職活動の時期などを定めた「就活ルール」の廃止に言及した。国境を越えた人材の獲得競争が広がり、経団連が個別企業の採用活動をしばるのは現実に合わないとの意識がある。

「就活ルール」とは

2020年春入社の学生までは前年の6月1日に採用面接を解禁し、10月1日に内定を出すという日程

です。つまり、大体以下のようなスケジュール感を想定しています。

エントリー開始:3月1日
説明会:3月~5月
面接:6月1日~9月
内定:10月1日

これ、上手く行きません。上手く行かないからこそ、経団連の会長が「廃止するか~」と言い出したわけです。

このように、開始時期が右往左往する事でそれ伴い学生や企業、学校や国が多大なコストを払い続けている「新卒採用(※)」ですが、いろいろ弊害多いんだから止めちゃえばいいじゃん?? と思う方もいるかもしれません。

が、私は何だかんだ言って新卒採用は今後20年以上は続くと思っています。

それはなぜか? それを探るためには、「学校」「企業」の他に、当事者である「学生」の観点から新卒採用について見ていく必要があります。

※ここで言う新卒採用とは、自由応募できる大卒・専門・短大・高専卒の事です。高卒は実質自由応募出来ないので除きます

学校にとって新卒採用とは?

学校ではさらに「先生」「事務局」とに分かれます。「先生」は分かると思いますが、「事務局」は学校を運営する人で、学長を頂点として、キャリアセンター職員や、広報室、学生課の職員さんだったりします。

先生:
「先生」にとっては、新卒採用は邪魔な物の何物でもないです。当然就活なんてない方が良いし、短ければ短いだけ良いし、就活でゼミに出席出来ないなんて言語道断と考えています。なぜなら、就職指導課を兼ねている方を除き「先生」は教える事で評価を得ている訳なので、教えを阻害される就活なんて害悪の何物でもないのです。

事務局:
「事務局」にとっては、新卒採用は大切な物?です。就職率という重要な数字が出る以上は、「事務局」はその数字を挙げないと生徒が集まらないというプレッシャーを大きく受けています。生徒の関心が高いわけですから、すでにブランドを確立している超一流国公立大学を除き、就職率は開示しないといけません。

そして、社会で即役に立つ学問を大学は教えてはいないので、欧米のように「明日、即、役に立てる能力は何?」みたいな事が問われる中途採用が採用基準になると、苦戦する学生さんが続出し、就職率は悪化するはずです。

ですので、新卒採用は現状無くてはならないし、数字が下がるようなリスクは敬遠します。

しかし敢えて大切な物?と「?」を付したのは、「先生」と同じく心の中では邪魔な物と考えている節があるからです。誤解を恐れずに言えば、「事務局」は生徒の就職活動の世話やその結果に対して責任なんて持ちたくありません。「学校は学問を教える所だろう?職業人を育てて斡旋する所じゃねぇ!」と、(口調は穏やかですが趣旨は一緒の意見を)私は大学キャリアセンター職員から聞いたことがあります。他の大学

まとめると、「先生」は新卒採用は邪魔、「事務局」は大切な物だけど邪魔、といったところでしょう。

つまり、極論すれば新卒採用に対して学校は「当校に迷惑がふり掛からなければ、どうでも良いです」というスタンスです。

企業にとって新卒採用とは?

新卒採用は非常に効率の良い採用活動になります。よって大切な物!!!です。新卒採用と対極にある中途採用を対比させると分かりやすいですが、効率性を考えると圧倒的に新卒採用が優れています。

項目 中途 新卒
期間 通年 短期間
採用費(10人採用) 2000万円 200万円
ブランド影響力
年収
事務負担
相応 上が狙える

期間
中途採用では基本的に通年採用ですから、1~2人が毎月応募するイメージです。一方で新卒採用では3月のエントリー開始~5月の説明会辺りに一気に10人応募してくるイメージです。

例えるなら、中途採用はバーゲンを打たない八百屋で、毎時間少しずつ客が均等に来る。新卒採用はバーゲンを打って、3時~5時にいっぱい客が来る。そんなイメージです。

費用
中途は基本エージェントに紹介を受けて採用します。知名度があれば自社Webページ経由で人も来ますが、それは恵まれた企業に限ります。普通は大体一人当たり年収の35%位の手数料、200万円程をエージェントに払って採用することになります。

新卒採用はナビ経由での応募が基本となりますから、その開設費用+αで200万円位です。ナビ経由で何人応募が来ても、費用は変わりません。

ブランド影響力
中途は新卒よりもブランド力が物を言います。ただしここで言うブランドとは「コマーシャルで認知度がある」みたいな小手先の物ではなく、業界での地位、財務安定性、業務の先進性などです。

労働者にとって本当に就業する価値のある企業かどうかが、新卒より格段にシビアに判定されます。ブランド力の無い企業にとっては、新卒採用よりも中途採用は数段難しいものになります。

年収
中途採用では良い人に青天井で高い給料が付きます。一方で新卒採用では良い人もほどほどの人も同じ初任給という低い給料が付きます。採用時年齢の低さも相まって、新卒採用は良い人を非常に良い賃金で獲得できるオイシイ採用手法なのです。

事務負担:
中途採用ではベテラン・エース級の実務経験者が応募してくるのでその良し悪しを判断する方もかなり深い業務知識を求められます。一方で新卒採用では実務経験者が皆無ですので、その点について深い業務知識が無くても務まったりします。

また、新卒採用は「エントリー → 説明会 → 面接」と採用テンプレートが決まっているため、多人数をさばく事が容易です。一方で、中途採用は採用テンプレートが定まっておらず、「縁故で応募してきたから面接から」とか「説明会と面接は一緒にやる」とか「面接は念のためもう一回行う」など、候補者に合わせて柔軟に対応する事が求められます。

つまり、中途採用担当者は育成するのに非常に手間がかかるのです。

採用者の質
中途採用では報酬・待遇に見合った人財が採用できます。間違っても「年収500万円のブラック企業平社員」に外資系コンサル出身みたいな人は応募しません。中途社員は社会を知っているため、篭絡する事は難しく、冷静に会社を見つめてきます。

他方で「年収500万円のブラック企業平社員」に東大卒の新卒社員を入れる事は充分に可能です。効果的な宣伝戦略を以って、「社長の夢」とか「成長」とかを訴えて行けばいいのです。

新卒採用は中途採用に比べて、短いし、安いし、手間かからないし、簡単だし、安い給料で良い人釣って来れるしで、「企業」にとっては新卒採用は無くてはならない大切な物!!!なのです。

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