マナー教育はタダではできない

クレームを入れると作業が滞り、値段が上がる

さて、「接客態度が悪い!」と店舗にクレームを入れた場合どうなるでしょうか。

マクドナルドのような外食産業、サービス業、小売業のような直接お客様に商品を提供する業界では顧客からのクレームに非常に敏感です。

「接客態度が悪い!」とのクレームが多い場合は、本社は「接客態度の向上」を目的とした「マインドセット系の研修の充実と徹底」という項目を指示したりします。

その方針が店舗に降りてくると、当然マインドセット系の研修を実施する事になります。

さて、ここからがポイントです。

多数のバイト社員で現場を回している外食産業や小売業では、「研修時間分だけ、シフトを延長よろしくね!」という訳にはいきません。バイト社員は学業や主婦業を抱えているので、無理にシフト時間を増やせません。

よって、シフト時間を増加できない場合は、今あるシフトの中で増加する研修時間を捻出しなければならないのです。

・・・が、何を削るのでしょうか。

接客の時間を削るわけには行きませんから、接客以外の時間を削ることになります。しかし、時給で動いているバイトに対して、経営者はギリギリの労働時間しか与えていないはず。つまり接客以外の時間(=余裕時間)なんて、もともとほとんど残されていません。

そういう状況で何を削るかというと、ほかの研修となります。つまり、座学や実技の研修の時間を削って、マインドセット系の研修に充てるようになります。けれど、座学と実技の研修は直接的に業務の質にかかわってきますから、それを削ってしまうと当然ながら本来業務の質が落ちます。

つまり、マナーや接客スキルの向上を図れば図るほど、品出しの時間が遅れたり、商品が間違えて届けられたり、商品の質が落ちたり、掃除が行き届いていなかったりするわけです。

私たち消費者は、そこまでして笑顔の接客を求めているの?っていう話です。

また、「研修時間分だけ、シフトを延長よろしくね!」が仮に上手くいっても別の問題が出てきます。それは人件費が騰がるという問題です。

6時間でシフトを組んでいる者に対して、1時間のマインドセット系の研修を追加するとなると、当然7時間分の賃金を払わなくては成りません。また、教える人の時間確保も1時間だけ必要になります。

さて、この増えた1時間分の人件費ですが、どうやってまかなうと思いますか?

サービス残業?? ナンセンスです。時給で働いているバイト社員にサービス残業を強制すると、退職や労働紛争を引き起こすリスクが大きすぎます。まして、今はまともバイトが採用できないような売り手市場です。10分程度の着替え作業をサービス残業にする、という程度であればごまかせるかもしれませんが、30分以上は厳しいでしょう。

ではどのように増えた人件費をまかなうのでしょう?

「人件費増えたからお金頂戴!」と言っても天からお金は降ってきませんから、当然、価格に反映させることになります。

つまり、価格を上げてマインドセット系の研修を実行することになるのです。

・・・これって、お客がお金を払って社員教育を施しているようなものです。だったら、店員の笑顔なんて要らないと思うのですが。

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